このブログを検索

2017-03-14

2016年度 基本的臨床能力評価試験の復習 2/4

「身体診察・臨床手技」の問題26~問題50
  1. 大動脈弁狭窄症の収縮期駆出性雑音は頸部に放散する.一方,閉塞性肥大型心筋症の収縮期雑音は頸部に放散しない.いずれもⅣ音を伴うことがある.
  2. Howship-Romberg(ハウシップ-ロンベルク)徴候とは大腿内側から膝・下腿に放散する疼痛やしびれで,閉鎖孔ヘルニアを示唆する.閉鎖管を通過する閉鎖神経の圧迫が原因で,股関節の伸展や外転で増悪する.
  3. 頸部痛が先行する片麻痺で,頸部の動きで増悪する疼痛は脊髄硬膜外血腫を示唆する.頭部CTや頭部MRI+A,頸部MRAでは異常がないことに要注意(頸椎の単純CTで診断する).
  4. 抗精神病薬を開始後の高熱や発汗,無動,寡黙,筋固縮,痙攣では悪性症候群を疑い,すべての抗精神病薬中止する.なお悪性症候群は抗パーキンソン薬の突然の中止後に発症することもある.
  5. Base excess(BE,塩基余剰)は血液のpHを7.40に戻すために必要な塩基量のこと.BEの基準値は-2~+2mEq/Lで,HCO3--24で概算値が計算できる.BE高値なら代謝性アルカローシスと考える.
  6. 輸液を行う場合,電解質異常がない症例における1日の必要量はNa 1mEq/kg,K 0.5mEq/Lが目安.NaCl 1g=Na 17mEqなので,1日にNa 1mEq/kgなら体重60kgとしてNaCl=60/17=3.53g/日.
  7. 災害医療時では頻呼吸(30回/分以上)あるいは徐呼吸(10回/分未満)ならSTART式トリアージでは赤タッグ(最優先治療群)に分類される.JTAS式,START式については コチラ で確認.
  8. II度熱傷(真皮に達する)では熱傷面積が15%以下の場合,外来通院でよい.輸液療法は必須であるが,画一的な抗菌薬の予防的全身投与は推奨されていない.なお気道熱傷が疑われる場合には予防的挿管を考慮する.
  9. 腹水穿刺は右あるいは左のモンロー点(臍と前上腸骨棘を直線で結んだ前上腸骨棘から3分の1の点)で行うことが多い(下腹壁動脈の損傷を避けるため).臍下部の腹部正中も穿刺可能であるが,その時は膀胱障害を回避するため必ず排尿しておく.

(投稿者 川崎)

0 件のコメント: